路上談義

寿町で感じた、支援の難しさ

横浜、寿町。日本三大ドヤ街の一つと称される場所である。先日、私は親友と共に寿青年ゼミというものに参加するため、寿町を訪れた。寿青年ゼミとは、一泊二日で寿町に滞在し、炊き出しなどのボランティアを通して、自分たちにできることを考えようという趣…

心の漸近線

どんなに心通ったと思ったって、決定的な立場の差に気付く、祭りのあと。電車に揺られる僕たちにはあったかいお風呂と布団が待っていて、おじさんたちは新宿の寒空の下、冷たいコンクリートの上で今日も眠る。互いが互いの世界に戻っていく。それはまったく…

貧困は人を壊す

リョーコさん(仮名)/60歳/女性 横浜で生活保護を受けて施設で暮らしていたが、環境に耐え切れず、新宿中央公園に逃げてきた。先日、わたしとリョーコさんは横浜に置いてきた荷物を取りにその施設を訪ねた。行きの電車。これからの計画を立てたり、過去の…

私のものさし、おじいさんのものさし

暖かそうな帽子とセーターを身に付け、バナナを食べていたおじいさん。話しかけると、聞いていたラジオを止め、話をしてくれた。 昭和10年生まれの、75歳。名前は聞かなくても良いだろ、ということで教えてもらえなかったが、公園暮らしを始めて、もう2…

おじさん、路上を楽しむ

新宿某所。今回話したホームレスの方は斉藤さん(仮名)という、60歳のおじさんだった。白くてモコモコした暖かそうな生地のシャツに紺のスウェット、赤いサンダルを履いた姿にグレーのベレー帽がよく似合う。整った顔立ちで、泉谷しげるを柔らかくしたような…